第9章

——ルービックキューブ。

L市の有名なプライベートクラブ。金持ちの楽園で、適当に男を捕まえれば、L市の顔役である可能性が高い。

山田澪は初めて訪れた。彼女の質素な身なりは、この場にいる人々と不釣り合いだった。

個室には何人かの人がいて、佐藤凛もその中にいた。

彼女は不真面目そうに両手を頭の後ろに枕にして、この場の一部の男性よりもだらしない座り方をしていた。

「兄貴、あたしをここに呼んだのは、北村社長に文句を言わせるためなの?」

佐藤凛はそう言いながら、北村健とその隣に座る夏目彩をちらりと見た。

北村健は無表情でソファに寄りかかり、足を組んでいた。薄暗...

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